黄昏花【たそがればな】

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【序章】血溜まりに咲き乱れてーー 「はぁ、はぁ、はぁ........。」 俺は走り続けていた。 後方より、這いずる音と水の滴る音が鳴り響く。 (くそっ、このままじゃ追い付かれる!) 何かを引き摺る音が鳴り響き、それはとてつもない速さで、俺を追ってくる。 あれは一体、何なのだろうかとの疑問が俺の脳裏を過った。 (何でこんな事になっちまったんだ!?) 何が、何だか分からない。 ただ一つ、ハッキリと理解しいる事は、同僚の佐藤と川崎をコイツが殺したという事だけだ。 そして、あの部屋にあった血溜まりの浴槽と咲き乱れし薔薇に似た花ーー。 あれが何だったのだろうか? 断言は出来ないが全ては、あの血溜まりの中で咲く赤い花を見てしまった事が原因であるような気がしてならなかった。 そう....今にして思えば何かが、おかしくなったのは、あの部屋を開けてしまってからような気がする....。 「はぁ..はぁ..はぁ..ごほっーー!?」 息絶え絶えになりながら、俺は薄暗い通路を走り続けた。 その先に助かる道があるとは限らない。 そこに希望は無いのかも知れない....だがーー。 俺は必死に走り続けた。 薄暗い通路の先にあるドアを目指してーー。
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