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「えっ....、本当なの?」 「うん、マジ。 今回のボーナスで、家購入しちった!」 「本当に?? だって家なんて、私達のボーナスぐらいで買えるものじゃないでしょ? あっーー! ローン組んだんだ?」 「ぶっぶー、外れぇ! 超格安物件を、購入したから一括払いで購入したが正解です!」 「嘘!? 本当に一括払いの購入なの?」 充彦【みつひこ】の意外な一言に、優歌【ゆうか】は、驚きの声を上げる。 それは当然の反応だった。 家を購入した充彦ですら、自身の目を何度も疑いながら購入に至ったくらいなのだから。 今、考えても余りにも好条件過ぎて、何かの間違いとしか思えない物件だった。 それは、ある商品販売サイトのネット広告に紛れ込んで、掲載されていたものであり胡散臭いとしか思えない形式のもの。 だが、内容を確認した途端、充彦はそれに惹き付けられるかのように、掲載内容を読み進めていた。 家一軒が僅か三十万という破格の値段。 ちょっとした高級ホテルの部屋代レベルの金額で買え、しかも家は築一年にして、備品までついている。 更に言うなら、固定資産税まで売り主持ちとか気持ち悪いくらい、サービスが行き届いていた。 一体何故ーー? そんな疑問が頭を過ったもののに気がつけば、充彦は家を購入するべく、購入依頼ボタンをクリックしていたのである。 だが、充彦は自らの行いに早まったという気持ちは無かった。 何故なら購入依頼ボタンを押したからといって、直ぐに購入する事になる訳ではなく、購入契約が成立して漸く、購入する事になるからである。 それに縦しんば購入が成立して調べて何か不都合あった場合でも、直ぐに対処すればクーリングオフ出来る筈..。 そんな認識から充彦は、気楽な気持ちで購入に踏み切った。 しかし、だからといって全く、警戒心が無かった訳ではない。 こんな破格の値段なのだから、何かあると考えるのは当然である。 故に充彦は契約の為の顔合わせに至るまでの間、自分なりに、この物件について調べた。 そんな中、一番最初に疑うべきは、曰く付きの物件かどうかーー。 誰かが自殺しただの、殺されただのは世間一般で良くある話だったからである。 だが、充彦なりに様々な角度から、この物件を調べてはみたものの、それらしい話は一切無く、充彦は思わず首を傾げるしかなかった。
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