3rdシングル

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グイグイ押されてワタワタしながら先輩たちに近づいて行く。気付いた瀬戸先輩が首をこちらに向けた時、その視線の動きが朱い筋になって見えた気がした。なんだろう、化け物がこっちを見た時みたいな。 「なんだテメエら」 「ひっ――」と息をのむ。昨日までの優しい先輩象が消し飛んだ。コレはヤバイ。 「か、春日くん! ここは危険だ!」 「お前から殺してやろうか白川。バラバラにしてやる」 本気なのかふざけているのか分からない白川先輩と、本気で言ってるだろう瀬戸先輩。白川先輩のセリフのチョイスがマズかったのは俺でも分かるけど。 「――ダメだ、疲れた……」 急に力が抜けたようになった瀬戸先輩から覇気が消えた。次いで、ふう――と溜め息をつく姿を見て何故か白川先輩が慌てている。俺は平井と顔を見合わせながら、「助かった?」と呟いた。 「瀬戸先輩、大人気なんすね」 「いらん。こんな人気」 平井の軽口に清々しいほどバッサリと答える。不要扱いされたのに、イケメントリオは気にする素振りもなく――いや、白川先輩だけ落ち込んでる。その他の二人は苦笑いで済んでるけど。 「あ……羽柴には適当に言っときました」 「――春日、その話はちょっと待て。コイツ等の前でするなら説明がいる」
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