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午後からはバイトとか始めるかもしれねえし、最終限のコマは開けとくか――と平井の抜群のリーダーシップに流されて、俺たちはコマ割りを順調に終わらせた。
「ところでさ、春日は何ゼミ?」
「神田ゼミ。女の教授。そっちは?」
返ってきたゼミの名前はやっぱり知らないものだった。平井の教授は男らしい。
「春日、そっちのゼミの情報交換、どんな先輩きた?」
「あー、メッチャイケメンきた。ゼミの女子ダイコウフン」
「ふはっ、俺んところもスゲエの来た。二人来たんだけど、片方がスゲエ男前でさあ」
「もしかして……朝倉先輩?」
「お! なんだ知ってんのかよ。あの人、かっけえよなー」
「じゃ、じゃあさ、もう一人って米沢先輩? 美少年の」
「いや? 瀬戸先輩っていう取っ付きにくい人だった。ほぼ全ての説明を朝倉先輩に任せて椅子に座ってたけど?」
「ふ、ふーん」
眼に浮かぶのは、きっと昨日の姿を見ているからだ。絶対イヤがるじゃん、あの人そういう感じのこと。
「昨日、その人たちと帰りに話したんだ。瀬戸先輩もけっこう良い人だったよ」
「そんな感じはしたけど、初対面で仲良くなるのはハードルが高そうな感じがしたけどなあ」
コイツ、デキる。思いの外、人を見る目があるのかもしれない。
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