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ある程度の話し合いで、今後の方針がフワッと決まった。とりあえず、できる限り羽柴の要望は応えてみる。そして、あまりにも無理そうなら少しずつフェードアウトして距離を取る。
週一回のゼミは確実に顔を合わせるが、大人数の前で俺をなんとかするっていうのもイメージダウンとかそういう関係でできないだろうとの平井の提案だった。
「応急措置って感じ」
「しょうがねえじゃん。未来の話なんだし」
「――なにが?」
背後からの声に俺と平井はギャッ!?――と本気で驚いた声を上げた。確実に飛び上がった気がする、少なくともベンチから二センチくらいは。
「せ、瀬戸先輩……」
……羽柴かと思った。いや、話の流れ的に。噂をすればなんとやらって感じで。
「よ。で、何の話? 免許取得?」
たぶん、それは応急救護ってヤツじゃないかと思います。
俺たちの寿命を軽く三年は縮めた瀬戸先輩は、不思議そうな顔で俺たちを見渡している。
「あ、お前は見たことあるな」
「ひ、平井です。昨日はありがとうございました……」
「ああ、ゼミのヤツか。でも俺は何もしてねえし。ほとんど朝倉に押し付けたしなあ」
カラカラと笑う瀬戸先輩に、平井は何と言っていいか分からないらしい。とりあえずの苦笑い。
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