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先輩こそこんなところに何をしに?――と訊こうとして、手にぶら下げているコンビニの袋に眼がいった。恐らく、俺たちみたいにここで食事をしようと思ってたんだろう。
「あ、俺たちもうすぐ退くので」
「あ? いいよ、別に。そろそろアイツらも来ると思うし、あっちにもベンチあるし」
「アイツらって、朝倉先輩ですか?」
頑張って平井が会話に入った。そんなに怖くないと思うんだけど、瀬戸先輩。
「おう。えっと、春日のゼミの白川と、お前のゼミの朝倉と、お前らとは縁もゆかりもない米沢が来る」
先輩、さすがに米沢先輩が可哀想です。
「……春日、お前が言ってたイケメントリオか?」
「い、いちおう」
それを瀬戸先輩が聞いたらさすがに気を悪くしないだろうか。だって、トリオの中に先輩が入ってないって言ってるようなモノだし。
「イケメントリオ……確かにそんな感じだな。なんで俺の周りは美形ばっかり集まってくんだか……顔削ってやろうかな」
先輩はそう言いながら、溜息とともに首を振った。先輩は自分が普通であることを自覚しているらしい。発言と性格は普通じゃなさそうだけど。
「なあ、春日……ちょっとさっきの話、先輩に相談してみたら?」
平井の言葉に頷く俺と、「さっきの話? 応急措置だのなんだの言ってたやつか?」と首を傾げる先輩。さて、どこから話せばいいのやら。
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