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結果的に、俺は瀬戸先輩にすべてを話した。それはもう、昨日の一睨みから先ほどの連絡先交換まで。
特に横槍を入れるわけでもなく話を聞いてくれた瀬戸先輩は、「んで」と俺の話終わりを待って口を開いた。
「フェードアウトだのなんだの言ってたわけだ」
「はい……」
「先輩はこう、なんか対処法とかあったんですか? あのグループに囲まれて」
同じ平凡仲間、なにかないだろうか。
「んん……特にねえな。ジャマならジャマっていうし、ウザけりゃウぜえって言っちまうし。迷惑になるかならないかはアイツらが勝手に判断して距離を取るからな」
あ、平凡ってところが微妙にズレてたらしい。確かに、昨日は朝倉先輩とバチバチしてた気がする。
「まあ、アレだろ? とにかく春日はアイドルのことキライなんだろ?」
「ま、まあ、そうです」
ドストレートに嫌いって言葉を使うことが躊躇われて、曖昧に返事をした。うん、こういう所が徹底的に俺とは違う。
「言っちまえよ、それ――って言いてえけど、ムリなんだろうなあ……」
「は、はい……やっぱりその後のことをいろいろ考えてしまうというか……」
語尾が尻すぼみになるのが自分で分かる。俺じゃあ予測も出来ないような大きな権力を振りかざしてきそうなんだもの。
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