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なんだろう、この場の顔面偏差値が一瞬で上昇した気がする。
ゴメンな、平井。お前も悪くはないはずなんだけど、あの人たちを見てるとその辺の石ころだよ。
「おい、春日。お前なんか失礼なこと考えてるだろ」
「は、はあ? 何言ってんだか」
「……眼がやたら優しいんだよお前」
良いことじゃないか。
さっき言った通り、瀬戸先輩たちは近くにある別のベンチで食べるらしい。キラッキラする空気をまとって、遠ざかった。去り際に、「んじゃ、なんかあれば遠慮すんなよ?」と声を掛けてくれた瀬戸先輩に深く頭を下げる。
「瀬戸先輩、かっけえ」
「ホントな。春日、俺も先輩ほどじゃないけど……なんかあればすぐ言えよ?」
「……なんか、俺の周りっていい人ばっかだ」
「一人だけヤベエヤツがいたけどな……」
「プラスマイナスがギリギリでマイナスって感じ」
何が+Aだよ、-になってしまえ。
「ああ、そろそろ時間だ……」
「どうする? ついてくか?」
「いや、それでお前も巻き込まれたら悪いし……」
心配そうな平井とは、また後の講義で落ち合う約束をして、重い腰を上げた。オカシイな、太ったかと思うくらいに足が重く感じるのは、きっと心が重苦しくなっているからだ。
会いたくねえー……。
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