2ndシングル

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「キミも分かると思うけど、人にはそれぞれステージがある。それは見た目や権力やその他いろいろな条件下で決められていくものだ。そして、自分で決めるものじゃなく、他人が勝手に評定していくものが大半だ」 つらつらと、台本を読んでいくように話すセリフに俺の頭は混乱した。つまり、何が言いたいのかが分からない。 未だに俺を見ない羽柴の顔を見たくて、俺は鏡に映る姿を睨みつけた。 「俺は、世間的に認められているアイドルで芸能人だ。これは自負しているといってもいいし、その点がキミたちとは決定的に違う」 そんなことは分かっている。いつからそういう立場でいるのかは知らないけど、小さい頃から子役だなんだと頑張っていたのなら、俺なんかよりも努力しているだろうことも想像できる。 「この大学に入って驚いた。まさか、俺と肩を並べるレベルのステージにいる人間が三人もいるとは」 「……ああ、ね。つまり、自分の側にいるにふさわしい人間との橋渡しを、俺にしろってこと?」 「思いのほか察しが良くて助かる。でも、言葉が足りないな」 ようやく、彼の瞳が俺を捉えた。それは、初日に見せた獰猛で凶暴な色を秘めた刺すようなものだった。 「邪魔者は排除したい。あのグループに、あんな平凡はいらないんだ。レベルの違いが分からない低俗な輩は、始末しなければならない」
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