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強い言葉に背中を押されて、俺は全てを先輩に吐露した。呼び出されて脅されて、協力を強制されたことを。
『――事情は分かった。春日……恐かったろ、すまんかった、その場にいてやれなくて』
「そ、そんな、先輩が謝るようなことじゃ……」
『つっても、悩んだんだろ? これから先、どうしようか、とかな』
やっぱり、ほとんど全てお見通しのようだ。たった一年しか歳が違わないはずなのに、この差はどこから生まれたのか。
「やっぱり俺、先輩のこと悪く言うとかできないので……あらためてアイツには理の連絡を……」
『ああ、それならな、そのアイドルの喜びそうな情報、あることないこと好きに言ってくれて構わねえぜ?』
「へ?」
『だから、アイツの気のすむようにさせてやればいいじゃねえか。例えば、俺がアイツらにコバンザメみたいにくっ付いてるとかナントカ言えば、機嫌よくなるんだろ?』
素っ頓狂な声を上げたのに、先輩は話を続けている。いや、そんなことをしたくないから悩んでるんですが……とボソボソと言うと、先輩は電話の向こうで笑った。
『春日、よく聞けよ? お前を傷つけた時点で、アイドルは俺と戦争することになったんだ。だったら、好きなだけ泳がせた後で徹底的に叩き潰してやる。お前が首を絞められたんなら、俺は首を引き千切るつもりだからな?』
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