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その声が本気であることを物語っていて、俺はつばを飲み込んだ。一周回って言わない方が良かったんじゃないかと後悔するくらい、瀬戸先輩はブチギレてる。
「いや、あの、そこまでしなくても、俺は関わりが無くなるくらいになってくれればいいというか……」
『ああ、大学にこれなくすればいいんだろ? 物理的に』
――違う! そういうんじゃないんですって!?
「もう少しだけ、穏便にというか、えっと……」
『向こうはそう思ってねえだろうな。俺としても、少し引っかかる部分があるからまだ何も言えねえけど……アイドルの真意は他にあるんじゃねえかと思う。ただ、生半可なモンじゃねえだろうから、手段は選ばねえと思うぜ?』
やられる前にやる――不穏な響きだけど、この人が言うと凄まじい説得力がある。
わかりました、その、瀬戸先輩のこと少し悪く言います――と小さな声で答えていると、先輩じゃない声が電話口から聞こえてきた。
『あれ、瀬戸くん? 電話なんて珍しいね――』
……白川先輩じゃね? 今の話聞かれてたんならヤバくね?
『うるせえ、春日からの相談テレフォンだ。肩でも揉んで待ってろ』
「し、白川先輩と一緒なんですか?」
『おう。今コイツん家。今日はここに泊まるし』
メッチャ仲イイじゃん。これ引き剥がすってムリじゃん羽柴。
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