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「なんかお前、俺の想像と違ったわ」
「へ? 何が?」
ポツリと言った平井に間抜けな声が出た。「なんつうか……」と少し言いにくそうな表情で、頬を掻いている。
「怒るなよ?……いや、もうちょっと他人に淡白なんじゃねえかなっていうか、無関心な感じでいたからさ」
「それは……悩まずに瀬戸先輩のことを売ると思ってたってこと?」
「いや、そこまで直球ではねえけどさ、周りとか関係ないってタイプだと思ってたから」
「ひっでえ」
苦笑いを浮かべながら平井を見ると、ちょっと真剣な顔をしている。そんなに俺は不愛想だったかな、自分で自分を見ることはなかなか難しい。
「悪かったってば。だって、最近そういうヤツ多いじゃん。困ってても、俺は関係ねえし――って言うようなヤツ」
「……お前、ホントに良いヤツだったんだな」
ジーンとしていると、明らかに照れている平井はそっぽを向いた。「お前なんか知るか」と言っている姿が、なんだかムズムズする感じ。お互いに褒め合ってお互いに照れてるって……どこの青春マンガだよ。
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