3rdシングル

8/18

349人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
それっぽい文章を作って羽柴に送信する。しばらく待っても返信は来ず、首を傾げる。「どうしてだろう? イマイチだった?」と平井に訊くと、「かもな。でも、もしかしたら……」と言葉を続けた。 「後々のことを考えて、下手に返事をしないようにしてるんじゃねえの?」 「後々ってどういう?」 「いや、お前のタレコミに喜んでる様子が残っちまったら、いざというときアイツも悪者になるかもしれねえじゃん。そうならないための保険的な」 「……なんか、すっげ。アイツも、そんな考えに行きつくお前も」 「頭いいだろ」 「性悪っていうかなんというか」 「お前なんかもう知らん」 しまった、貴重なブレインがへそを曲げた。取り繕うに謝ると、「分かればよろしい」と芝居じみたセリフを吐く。面白いヤツめ。 「そういえば、大学に来てるのかな、羽柴」 「春日、あんまり考えるなよ? 深く考えると沼にハマるぞ」 「いや、そういうんじゃなくてさ……おれは詳しく知らないけど有名アイドルだろ? 仕事とか忙しそうじゃん。それで単位取るとか考えないといけないのはスゴイなというか」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

349人が本棚に入れています
本棚に追加