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それっぽい文章を作って羽柴に送信する。しばらく待っても返信は来ず、首を傾げる。「どうしてだろう? イマイチだった?」と平井に訊くと、「かもな。でも、もしかしたら……」と言葉を続けた。
「後々のことを考えて、下手に返事をしないようにしてるんじゃねえの?」
「後々ってどういう?」
「いや、お前のタレコミに喜んでる様子が残っちまったら、いざというときアイツも悪者になるかもしれねえじゃん。そうならないための保険的な」
「……なんか、すっげ。アイツも、そんな考えに行きつくお前も」
「頭いいだろ」
「性悪っていうかなんというか」
「お前なんかもう知らん」
しまった、貴重なブレインがへそを曲げた。取り繕うに謝ると、「分かればよろしい」と芝居じみたセリフを吐く。面白いヤツめ。
「そういえば、大学に来てるのかな、羽柴」
「春日、あんまり考えるなよ? 深く考えると沼にハマるぞ」
「いや、そういうんじゃなくてさ……おれは詳しく知らないけど有名アイドルだろ? 仕事とか忙しそうじゃん。それで単位取るとか考えないといけないのはスゴイなというか」
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