1つ目:小川三水の小さな決意

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 売れる作品には、必ず四つの要素がある。  一、 宗教的な要素  二、 ミステリー(何かしらの謎)  三、 ハイソサエティ(上流社会)  四、 SEX 以上の内容を盛り込むことだ。  前に何かで読んだのだが、何だったか思い出せない。しかしまぁ、今の私にはどうでもいいことだった。 私の名は小川三水、小説家だ。 「小川三水? 聞いたことないな?」 そうだろうねぇ、と思った。なにせまだ一冊も本を出していないんだから。そう思いながら天を仰いだ。満月? 少し欠けているかな。どうでもいいか。とにかく早くこの状況から脱したいと願った。  駆け出しの小説家である私は、次回作の構想のため夜の散歩をしていたのだが、いつの間にか見知らぬ住宅街まだ来てしまい、少し歩き疲れたので、小さな公園のブランコに座り、小説の構想を練っていた。うつむいて、ぼーっと、していたら、 「ちょっとすいません」 と、声をかけられたので顔を上げたら、制服警察官が立っていて、いわゆる職務質問というのにかけられているのが現状だ。  身分証明を求められたので、運転免許証を見せ、口頭で現住所を言った。その後、何故ここにいるのを質問され、正直に話したところ 「免許証と名前が違うようだが?」
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