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<side 唯人>4
その後葵はすぐに真田会長に実家に戻ると宣言した。
『週末は今までの分も父に親孝行したい』とか言って、ちゃっかり週1回真田本家に顔を出すという条件もなしにして。
全くもって想定外の提案だったらしく、あの真田会長が呆気に取られて、引き止めることもできなかった。
真田律も同じような反応で、真田父子のその様子を目の当たりにして、ある意味真田家で最強なのは葵なんじゃないだろうか、と思えてきて、可笑しくて笑いを噛み殺すのが大変だった。
無事真田邸を出て、コンビニに立ち寄っているときに、またも見計らったようなタイミングで真田会長か
ら電話がかかってきた。
「天澤くん?今大丈夫?」
「はい。ちょうど葵さん、今席外しているので」
「そう。ところで、葵が実家に帰るよう入れ知恵したの、キミ?」
「いえ、私は何も」
「…そう。言っておくけど、私の目の届かないところで葵に変なことしたら、キミのところの会社ごと潰すからね」
スッと背筋に冷たい汗。
昨夜の件、さっきバレなくて本当に良かった。
「葵さんの望まないことはしません。それはお約束します。」
「それって、葵が望めば何でもするってこと?」
「俺にできることなら」
「まだ出会ってたった数日だよね?なぜそこまで?」
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