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すると、課長はさっきと同じ意味あり気な笑みを浮かべ、さっきと同じように答えを曖昧にするのかと思わせた後、
「嘘じゃないよ」
とはっきり言った。
「え...?」
「だから、俺と社長は君たちの想像どおり『特別な関係』だって言ったんだけど?」
微塵も罪悪感なんて抱いてない。
それどころか口許にも目許にも笑みすらたたえて。
そんな顔をして社長との不適切な関係を明かして来る無神経さに、
「じ、自分のせいで傷つく人が居ても何とも思わないんですか!?」
とつい声が大きくなった私に、課長は表情を崩すどころか目尻のシワをより深くした。
「私にはこんな環境で仕事をするなんて、絶対に無理です」
私は勢いに任せてそう言って、さっき課長が私の鞄とコートをしまってくれたロッカーの扉を開けた。
その瞬間私の肩の後ろからヒュッと伸びてきた課長の手が
バンッ
という衝突音をさせてロッカーの扉を元の位置に戻した。
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