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がたんと音がして缶が落ちた。前かがみになって取りだし口に手を入れたかと思ったら彼はいきなりふらついた。
そのまま前方に倒れそうになる彼を亮真があわてて後ろから支えると、ぼんやりとした動作で振り向いた。手にはコーンスープの缶を持っている。
肩を掴んで倒れないように引き起こした。その軽さに亮真は驚く。
彼はひどく顔色が悪かった。もともと色白なのかも知れないが、青白くまったく血の気がない。前髪が長いので表情はよくわからなかった。
「あの、大丈夫ですか?」
抱え込むようにして起き上がらせると肩を抱くように一緒に歩いて、ホールに置いてある椅子に座らせる。
支えた彼の肩の薄さにちょっと驚いた。ずいぶん華奢な感じの人だ。ダウンコートを着ているからわからなかったが、かなり痩せている。
「…すみません」
小さな声が聞こえた。
「気分でも悪いですか? 連れの方はいますか?」
「いえ。……でも、大丈夫です」
「そうですか? 顔色悪いですよ。家の方に連絡して迎えに来てもらうことはできますか?」
「あ、いえ。その…、ちょっと、お腹すいてふらついただけなので…」
は? 空腹でめまいがしたってこと?
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