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亮真は彼が手に持ったコーンスープを見る。
なるほど、お腹に溜まりそうなものを選んでいたのか。
「ここの2階に売店ありますよ。おにぎりとかパンくらいなら売ってますけど」
2階は児童館になっていて売店がありちょっとした食べ物が売っている。その売店の前にテーブルとイスがあって、軽食を食べるのに利用することもできた。
「よかったら2階まで付き添いましょうか? それとも俺が買ってきましょうか?」
「いえ、そんな…」
彼は恐縮して緩慢に首を横に振った。
「これ、飲んだら大丈夫だと思うので」
とても大丈夫な顔色には見えなかった。
紙のように白い、という表現がぴったりだ。前髪が目の下くらいにまで長くて表情はよく見えないが、声にまったく力がない。
「いえ、実は俺も上でおにぎり買おうと思って来たたんです。だからついでなので、ホントに気にしないでいいんですけど」
本当はそんなつもりはなかったが、そう言ってしまったのは彼があまりに顔色が悪くて、手を離したら倒れてしまいそうに見えたからだ。
すこしだけ迷うそぶりを見せた彼は「じゃあ、おにぎり二つお願いします」と小銭入れから500円玉を出して亮真に渡した。
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