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彼が選んだのは昆布とシャケのおにぎりだった。
ちゃんと食べて無事に帰れたんだったらいいんだが。
清潔な格好をしているのにぼさぼさの頭で、妙に礼儀正しくて小さな声で律義に礼を言っていた。
そのちぐはぐさがおかしくて印象には残ったが、彼に会ったのはあの時一度きりだったから、年度替わりの忙しさに紛れてすっかり忘れてしまっていた。
でも今日の彼は、あの時の彼と同じワンショルダーバッグを持っていた。
華奢な体と全体的な雰囲気からして同一人物だろう。
髪を切ったらあんな顔をしていたのか。
どことなく小動物を思わせる雰囲気があった。細身で目がくりっと大きくてかわいい感じの…、何だろう? つぶらな黒い目が語りかけてきそうな感じの。テレビで見かける動物番組に出てきそうだが、名前はわからない。
あの時は折れそうなほど細い印象があったけれど、今日も立ちくらみがすると支えた肩はやはり薄くて頼りない感じがした。
もともと体が弱い人なのかもしれないな。
でも顔色はずいぶんよくなったようだから、すこし安心したけれど。
春日蓮見さんか。
もし次に会えたら覚えてますかと訊いてみようか。
試し読み 完
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