第1章  再会

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 桜の時期になったなあ。  宮原亮真は大きく伸びをして、パソコン画面に目を戻した。  職場の窓から見える公園の桜は八分咲きだった。  もうすぐ昼休みに入るところで比較的のんびりした空気に包まれている。新年度のバタバタした時期をすこし過ぎて、ようやく通常の業務ペースになってきた。  亮真のいる住民戸籍課も例外ではなく、年度替わりの転入転出が落ち着いてきたところだ。窓の外ではよく晴れた春の空のしたで花見を楽しむ人々が見える。  市役所とそれに隣り合って立つ図書館の前は、大きな広場を囲むように遊具が配置された公園になっていて、その遊歩道には等間隔に桜が植えられている。  今年は冬が寒かったせいか例年より少し開花が遅くて、もう四月下旬になっていた。週末にちょうど満開というところだろうか。 「亮真、昼行ってきていいぞ」  課長の大里が声をかけた。職場なのに下の名前で呼ぶのは、隣の課に入職十年目の同姓の職員がいるからだ。彼が「宮原さん」だから後から入職した亮真は下の名前で呼ばれている。 「午後イチから会議だから遅れるなよ」 「はい、じゃあお先に行ってきます」  新年度の忙しさが落ち着いてゆっくり昼休みをとれるようになるこの時期は、散歩がてら外で食べるのにいい気候だ。
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