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全体的に小づくりでかわいい感じがする。色白で中性的というのだろうか、襟足が長めの髪のせいかボーイッシュな女性に見えなくもない。
顔立ちはすっきり整っていて、大きな目が印象的だった。黒目が大きく濡れたようにつやつやしている。こんな感じの動物いたよな? なんだったっけ? リスとか小型の目の大きいサル?
彼は、亮真がその手にトートバックを持っているのを見て、ああ、という顔をした。
「ここ、どうぞ。お昼食べに来たんでしょう」
予想よりも落ち着いたやわらかな声で、彼は自分の横を指差した。
亮真はにっこり笑うと「ありがとうございます」と礼を言ってベンチに近づいた。一人分の距離をあけて座ったら、彼が亮真と入れ違いに立ち上がる気配を見せた。
「あ、いいですよ、ここにいてもらって。俺、食べたらすぐ仕事に戻るんで」
「ううん、もうそろそろ帰ろうかと思ってたところなので」
そう言って立ち上がった彼は、すこしふらついた。
「大丈夫ですか?」
弁当をベンチに置いて、あわてて肩を支えた。
亮真より10センチほど低いから、170くらいだろうか。
「ああ、ごめ、いや、すみません。急に立ち上がったから立ちくらみがしただけで…」
「もうすこし、座っていたらどうですか?」
「うん、そうします」
肩を支えたままベンチに座らせると、そっと手を離した。
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