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どうしてこんなことになったのだろう。
時折、ふっと浮かぶそんな思いから生け花は柔らかく私を遠ざけてくれた。花器の中の世界は私の思い描く通り自由自在なのだ。
極楽鳥花をあえて小さくまとめてしまったのは私だけだったけれど、先生からは、個性的で赤城さんらしくて素敵ですねと言われた。
いつものように、舘林さんに誘われて、私はカルチャースクールの一階にある喫茶店でアイスティーを飲みながらおしゃべりをしていた。
私の家は夫と新婚当時に建てた新興住宅地の区画の一つにある。それほど年齢や収入や事情に格差がない家族が軒を連ねている。舘林さんも私の家のはす向かいに住んでいて、あとから引っ越してきた私に色々と教えてくれたのを今も懐かしく思い出せる。娘が生まれる前に建てた家。まだ若かった私。あれから三十年以上も経ってしまった。夫が事故で亡くなってからは十年がたつ。
他愛のないおしゃべりのなか舘林さんは急にこんなことを言い始めた。
「ねえ、赤城さん、ここのカルチャースクールのパソコン教室ってどうなのかしら?」
このカルチャースクールには当然、生け花だけではなく、様々な講座が開設されていて、パソコン教室もその一つだった。
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