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「どういうことですか?」
「どういうことと言いますか……。お嬢さんはどうやらご結婚されたようです。その時に、いわゆる、戸籍ロックと言いますか……。お母様に戸籍や住民票の閲覧ができないようにお手続きをされているようなんです」
「戸籍ロック? なんですか? ふざけているんですか? おかしいでしょう? どうして母親の私が、娘の行方を追えないんですか? 娘はきっと、なにか事件に巻き込まれているんですよ? こうしている間にも、大変な事になっているかもしれないんです。娘は今、どこにいるんですか?」
「お気持ちは分かりますけど、こちらと致しましては、正式に手続きされておられる以上、お教えすることはできないんですよ」
薄くなった頭の割にまだ若そうな小太りの職員は極力私と目を合わせるのを避けていて、イライラした。役所の流れ作業になんか絶対させない。こうしている間にも、娘はひどい目に遭っているかもしれないのだから。
「なにかの間違いに違いありません。その手続きがあった日と手続きに使われた書類を見せてください」
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