月下逢瀬

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今夜は見惚れるほど綺麗な三日月だった。触れれば指先が傷つきそうなほど細く鋭利で、銀色のナイフのように研ぎ澄まされている。 …とても心が休まる。 レオにとって月は太陽よりも親しい相手だ。何故なら基本的に魔女の郷の者は夜が活動時間のようなものだから。魔女の魔法がより真価を発揮するのも、魔女の(つるぎ)の者たちが闇に乗じて行動するのも、夜。 月のよく見える位置にあるその石造りのテラスは階段が設けられており、下は中庭となっていた。 階段のそばの手すりに手を付き、息を吐く。人々の華やかな笑い声も、眩いまでのシャンデリアの光も遠のきとても落ち着いた。 …正直、こんな任務よりメレオン国の軍隊長と一騎打ちして買って来いと言われた方がマシな気もしてきた。
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