無茶振り魔女

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無茶振り魔女

__王国メレオンと魔女の確執の歴史は長い。 古より王国は魔女を恐れ疎み、遠ざけてきた。 王に助言をして国の繁栄に手を貸した聡明な魔女のことさえ国は裏切り、人が住めもしない朽ちた大地へと魔女達を追いやった。時には天災や騒動を魔女のせいだとして、害を及ぼした。 人間達は恐ろしかったのだ。 自分たちより遥かに長く生き続け、人間が及びつかない力を操る魔女という存在が。 どれほど魔女が共存を訴えかけても冷たく張り詰めた人間たちの心は解けることはなかった。 積年に渡る王国側の拒絶と仕打ちに、魔女達はやがて人間を憎むようになった。 そして、その朽ちた大地に魔女の郷を作り上げ、人間への復讐を企てるようになった。 けれどそれにはちと人数が足りなすぎる。王国メレオンは巨大な国。いくら人知を超えた力を持つ魔女であっても郷をやっと作れるような勢力では対抗しようにもなかなか厳しいものがある。 そこで魔女達は王国の捨て子を拾い、あるいは攫い、魔女の郷に連れ帰って子供のように育てた。丈夫な肉体と精神を持ち、魔女側に就いて王国と戦ってくれる人間達を。そうして魔女側の人間として育てられた彼らは類い稀な戦闘力を磨かれ、魔女の(つるぎ)とよばれる部隊を作り上げた。 彼らは魔女に忠誠を誓い、暗躍する。 魔女の(つるぎ)。 今では王国から恐れられ、王国の軍からも恐れられる部隊である。
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