月下逢瀬

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レオは刹那目を閉じた。 魔女の(つるぎ)の長としての矜持があった。これ以上見苦しい振る舞いをするなどあってはならないと自分を戒める。潜入の任務を任されているのだ。潜入の場にそぐわぬ振る舞いをするなど長失格だ。 落ち着いて任務を続行しろ。 瞠目したのはほんの一瞬にすぎなかったが、次に目を開いた時には、彼は冷静さを取り戻していた。 「こちらこそ、ご無礼をお許し下さい。突然のことで驚いてしまって放心していました」 無理もありませんよ、と男が頷き頭一つ分異なる目線を合わせるようにレオの顔を覗き込んだ。労わるような眼差しだ。 「お怪我がなくて良かった…」 「…貴方のおかげです。本当にありがとうございます」 その優雅な眼差しと真っ向からいつまでも視線を交わらせることができなかった。 お礼を述べながら淑やかに頭を下げることで視線から逃れた。
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