3. 最初の幸せと最後の愛を

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バスタブとシャワーが一体になった形の、決して広くはないシャワールーム。 溢れかえる熱気と、湿気と、吐息。 「っん、ふ…ぁ…」 浴槽に座り込んだ俺を膝に乗せた朔夜の手が、泡をまとってぬるぬる肌を滑っていく。 最初はただ、洗ってもらっていただけ。 警戒しなかった訳じゃないけれど、髪を洗って、顔を洗って、そこまでは普通だったから気を許してしまったのがきっと策略だったのだろう。 「んー…」 「ふゃっ!?」 もにゅ、と聞こえそうなほど柔らかく、両手で胸を掴まれた。 やだ、やだ。そこはダメ。だって。 「ひなたちゃんって…結構胸筋あるのかと思ってたら…」 「なにゃっ…」 「これ、筋肉じゃなくてちゃんと膨らんでるんだね」 これ、というのはもちろん胸のこと。 俺は断じて女じゃない、けれど一般的な男性よりも胸が膨らんでいるというコンプレックスがある。 カップにしてみればAにも満たないくらいだけれど、見た目はやっぱりちょっとふっくらしていて、それがどうしても嫌で、なのに。 「っ、あ…だ、め…っ揉んじゃ…っ!」 もに、もにって膨らみを手の中で優しく揉まれ、ぐ…っと中央に寄せられると今度は下から上げるように弄ばれて。 手の中で好きなように遊ばれてるのが、どうしてか気持ちよくて身体が反応してしまう。 「さ、くや…っ!っやめ…」 「見て見てひなたちゃん、谷間。すっごい浅いけど」 ぐぐ…と寄せ集められた小さな膨らみの真ん中に、浅く短く、でもくっきりと走る縦線。 楽しそうな朔夜の声に、手に、ドックンドックン高鳴り続ける鼓動は、もう随分前からバレてるんだろう。  
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