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『ちっ!・・何だ・・これは!・・うるさい!・・うるさい!!』
それを振りほどこうと闇雲に動き続けるがそれは止まず、研次は無意識に壁を登った。
天井まで半ばほどの場所まで行くとそれはぴたりと止んだ。
『高い所へ行けば止まるのか?』
そう思った瞬間、ドアが開き、蛍光灯に光が入った。
真知子は喫驚し、そのまま固まった。研次も逃げたいが体が動かない。
「待ってくれ!真知子!・・」
先の研次の出現でテーブルには殺虫スプレーが用意されていた。
真知子はゴキブリから目線を切らさないように交互にそれらを確認しながらじわりじわりと距離を詰める。
「待ってくれ!俺だ!研次だ!・・落ち着け!俺は別れを言いに来ただけなんだ・・」
スプレー缶を手にした真知子は一気に踏み込み、30㎝と開けない距離から研次に噴霧した。
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