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朱循は頭の後ろを掻きながら言葉を選ぶ。
「俺はまだ、お前を認めた訳じゃないが……ただのでしゃばり女じゃないことはわかったよ。だから護衛くらいしてやる。せいぜい結果は出すことだな!」
韓栄は朱循をまじまじと見つめた。
「な、なんだよ!」
「いえ、どういう風の吹き回しかしらと思って」
「なんだと! 仕方ねーだろ董亮が怒るんだから!」
「ふふ」
韓栄がころころと笑い声をあげると、朱循はつられて照れくさそうに少しだけ笑った。
「貴方でも笑うのね」
「年上をからかうな! それだけ減らず口なら俺は知らん!」
朱循は怒って天幕を出て行ってしまった。
そうだ、董亮にお礼を言いに行こう。
韓栄は天幕を出て董亮の姿を探しに行った。
董亮は夜の見張りをしているところだった。韓栄は彼の側に歩み寄る。
「董亮!」
「韓栄、もう体調はいいのか?」
「えぇ、お陰様で。その節はありがとう」
韓栄は恭しく辞儀をした。
「構わないさ、あのくらい」
「そうだわ、倒れている間朱循がずっと面倒見ていてくれたみたい。何だかんだで優しいのね」
「……そうだな」
董亮の顔が少し曇る。韓栄は不思議そうに董亮を見上げる。
「どうかした?」
「何故?」
「いえ、顔を少し顰めたから」
「何? それはすまない」
彼は無自覚だったらしく慌てて眉間の皺を伸ばした。
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