105人が本棚に入れています
本棚に追加
別室で待たされている護衛たちは、ツカツカと不機嫌そうな靴音を立てながら戻ってきた韓栄を見て「やっぱり駄目だったか」とため息をついた。
韓栄はにこりと微笑むと淡々と告げる。
「二日ほど待つようにとのことです。同盟は無事成立しました」
辺りが水を打ったように静かになる。ほとんどの人間が信じられないとでもいうように目を白黒させる。
初めに声を出したのは朱循だった。
「本当か! やるじゃねぇか見直したぞ!」
その一言が契機となり部屋中が安堵と喜びに沸いた。
「よくやったな! ありがとう!」
「韓蓋殿の娘というのは本当だったんだな! 来た甲斐があった!」
喜びのあまり韓栄の肩をばしばしと叩く者もいる。さすがの韓栄も「お役に立てて光栄です」と照れくさそうに少し頬を赤らめた。
「韓栄」
皆に囲まれた彼女に董亮が声をかける。韓栄は「あら董亮!」と晴れやかな顔を見せる。彼は一言だけ告げる。
「やってくれると思ってた」
「当然よ……ありがとう」
それ以上の言葉はなく、ただ二人は微笑みあう。
「祝杯だ!」
二人の和やかな空気は一人の声に打ち消され、その後も祭りのような明るい喧騒が朝まで続いた。
最初のコメントを投稿しよう!