三章

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私服に着替えて待ち合わせの飲み屋に到着すると、董亮が一人既に席に座って待っている。予定より早く来た彼女は目を丸くする。 「韓栄、やっぱり早く来たな」 「ええ、董亮もずいぶん早いじゃない」 「お前が早く来ると思ったからな」 「?」 韓栄は首を傾げる。 「女が一人で待っているのは危ないだろう」 董亮は韓栄の腕を引っ張って隣に座らせる。しばらくすると李延と嬉々とした足取りの朱循が店に着いた。 「朱循、やけに上機嫌ね」 「当たり前じゃねえか! こうして飲むのも久しぶりだからな!」 「二人とも早かったじゃないか、董亮、お前が早いのは珍しいな。いつも鍛錬して帰るから俺たちより遅いだろ」 李延の言葉に董亮は少し苦笑いをする。 「まぁ、たまにはな」 「おい、無駄話はいいから酒を頼め! 韓栄、お前もしこたま飲めよ!」 「少し落ち着いたらどうなの朱循」 いつにも増してせっかちな朱循をなだめながら、なだれ込むようにしてささやかな酒宴が開かれた。  
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