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「パパ、おなかおっきいね」 「運動不足かな、はははっ」  華南(かなん)は、一緒にお風呂に入るたびにそう言う。  二歳になる娘は、随分とおしゃべりするようになったものだ。  お隣の息子さんは、もうじき三歳になるというのに、うちの娘の様に饒舌ではない。  女の子の成長は早いって聞いてはいたが、こんなにも違うのかと、一人苦笑いしてしまう。  僕、隼太(はやた)が、妻、淑恵(よしえ)と結婚したのは、お互いが二十九歳になった年、五年前の事。  一緒になって三年、やっと我が家に授かった可愛い天使が、華南だ。  妊娠を期に、専業主婦になった淑恵は、夕食の準備をしている。  子育ての殆どを淑恵に任せている僕の担当が、休日のお出掛けと、毎日のお風呂。  湯船に浸かりながら、幸せそうに笑う華南を見ていると、いつまでこうして一緒に入ってくれるのかな、なんて、今からそんな心配をしてしまう。
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