勇気の旅人

3/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
今まで適当に、人に流されながら人生を歩んできて、なんの目的意識もなく大学に進学したものですから、そういう人間をとても眩しく感じ、段々と、自分のちっぽけな存在が億劫になって、しまいには人と接することすら嫌になって、半ば「負け組」というレッテルを自らに貼り付ける形で、逃げるようにここにきたのでした。 影に潜んで、丸まって、「何か」に沿って生きる。 だからダンゴムシ。 そんな自分が酷く滑稽に思えて、悲しみや怒りよりも「虚しさ」が身体中を覆って、そこから逃れようと決意はするのですが、また人前に出てしまえば同じこと、その大いなる決意も無駄に終わってしまうのでした。 一昔前は世間を恨みました。 今は自分の不甲斐なさを恨むばかりです。 「結局人は」とか「人間とは」、などと言って人間を一括りにする言葉を僕は好きません。 結局人間は自分が可愛いから、変わろうとしてもリスクを考えてつい怖気づく、などと考えていましたが、多分それは僕という意気地なしが生み出した勝手な持論であり、それは全ての人間に当てはまらないような気がします。 Under pressure. ちっぽけで虫けらのような僕の存在など誰も気にも留めないはずなのに、どうも自分を変えようとすると、見られていないはずのその視線が痛く気になって、変に思われたらどうしようとかしょうもないことを考え出したらキリがなく、重圧の下に晒されているような心細さを感じるのです。     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!