2話 森の中の家

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 我慢していた涙が一つこぼれた。恨んだり、憎んだり、悲観しても進めない。生きていればきっといい事がある。そう、思って城の中でも暮らしていたのに。  不意に、ぽんぽんと頭を撫でる大きな手があり、振り仰いだ。  その先でアベルが、真っ直ぐに見つめながら撫でてくれていた。 「俺達も故郷を追われた身だ、分からないではない」 「そう、なのですか?」 「あぁ。兄弟七人、この森でひっそりと生活しているが国には帰れないままだ。もう、帰るつもりもないんだがな」 「……お辛い、ですよね」 「わりと気に入っているぞ。気を使う事もなく、気ままだ。不運なことだが、結果的には悪くなかった」  言葉通りカラッとした口調のアベルに白雪姫は驚き、次には気が抜けたように笑った。 「それなら、良かった」  どう言っていいか分からないが、この言葉が出た。それはまるで、自分にも言い聞かせているようだった。
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