699人が本棚に入れています
本棚に追加
程なくしてギヨームが諸々の物を持って戻ってきて、丁寧に足を冷やし、しっかりと足を固定するように包帯を巻いてくれる。そして杖を一本白雪姫へと渡した。
「この足で森を抜けるのは大変かも。もし良ければ、ご家族と連絡を取りに走りますよ」
「あの……」
ニッコリと優しく微笑んでくれるギヨームに対してとても申し訳ないが、白雪姫にはもう戻る家はなかった。
父は継母がいたくお気に召していて、白雪姫の言うことを信じてはくれないだろう。
なによりも城へ戻ればまた命を狙われる。この森でひっそりと生きていくほうがきっと幸せだと思えてしまう。
姫として、何かやり残した事があるわけではない。姫としての公務なんて見せかけで、色んな人に愛想笑いをするばかりだ。それなら、別に自分じゃなくてもと思っている。
「どうかしましたか?」
「えっと……」
「この娘は今日からここに住む」
「え!」
アベルからの言葉に驚いたのは白雪姫もだった。だがギヨームはもっと驚いた様子で声を上げる。
最初のコメントを投稿しよう!