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「これ、ダリウス兄が狩りの途中で枝に引っかけて盛大にやったんだけど、こんなのも直るの?」
「これは裏から布を当てないと。同じような色の布……」
「それならこっちに色んな色の布があるので、使ってください。あと、糸も」
至れり尽くせりでギヨームが服と布の色を見て持ってきてくれ、白雪姫はそれを細かな縫い目で丁寧に直していく。そのおかげで、お出かけ着にはならずとも部屋着くらいには使える代物になった。
「すっごい!! あんた凄いじゃん!」
「有り難う」
綺麗に直った服を取り上げてはしゃぐフェルナンは頬を上気させている。とても楽しそうな姿に白雪姫も自然と笑い、更に頑張ろうと気合を入れるのだった。
時間も忘れて好きな事に打ち込んだ。仕上がる度に自信がつくように思った。役立てているように思えて嬉しかった。
そのうちにギヨームがお茶の時間に誘ってくれるまでずっと、白雪姫は夢中になって仕事をしていた。
お茶の時間にはギヨームとフェルナン、そしてエミールだけだった。聞けばこの時間にここにいるのはこの三人らしく、他の人は夕方まで帰らないらしい。狩りに行くアベルやシャロン、ダリウスはほぼ夕方まではいなく、別の仕事をしているビセンテがたまにいるくらいだと。
お茶の時間の後はギヨームは家の仕事、エミールは木の実や薬草などを取りに行き、フェルナンは薪拾いがあるらしい。
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