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白雪姫はまた元の部屋に戻って、破けた服の修繕をしていた。
そうしてまた、どのくらいの時間が経ったのか。手元の光が茜色になってもまだ集中していた。だからこそ、色々なものに気付かなかった。
「すんごい集中。姫ちゃんって、夢中になるタイプなんだねぇ」
「ひぃ!!」
突然耳元に吹き込まれた息と一緒に甘くゆったりと紡がれる言葉に、思わず変な声が出た。それが面白かったのか、背後でシャルロがおかしそうに笑っていた。
「シャルロさん!」
「だってぇ、ノックしたのに気付かないんだもん。驚いたのは僕の方だよぉ?」
「え?」
全然気付かなかった……
シャルロは少し離れたソファーに座る。そこは朝までは衣類でグチャグチャになって、座る場所もなかったところだ。
「ほっとーに働き者だよねぇ、姫ちゃん。でも、そぉんなに頑張らなくてもいいんだよぉ?」
「いえ、私がやりたくてしている事なので」
正直、手を動かしている時間はとても楽しく、集中していて余計な事を考えなくてすむ。それが楽でもあって、白雪姫は夢中になっていた。
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