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シャルロの瞳が僅かに細くなる。そして近づいてきて、不意にしゃがみ込み瞳を覗かれた。
「!」
「ねぇ、無理してなぁい?」
「え?」
「ダメだよぉ、姫ちゃん。不安があるなら、確かめないと」
言われて、困って、俯いた。頬にシャルロの手が触れる。意外と硬く、節のある手だった。
「なぁに不安がってるのぉ?」
「……私、ここにいてもいいのでしょうか?」
思わず溢れて、それに驚く。胸の中にある不安が溢れるような気がした。
出てしまったらもう、留めようがなかった。溢れるように口に出てしまった。
「私が生きているって義母様が知ったら、皆さんにも迷惑がかかる。私、役立たずなのに」
「違うよ、姫ちゃん。実際、役に立ってるじゃない」
「でも!」
「姫ちゃん」
包むように触れる手が温かい。優しい瞳が見上げてくる。不安に苦しくなる心が、緩まっていく。
気付けば目頭が熱くなって、頬が濡れていた。シャルロはそれを丁寧に手の平で拭ってくれていた。
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