4話 母から受け継いだもの

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「必死だったんだねぇ」 「私……」 「ここにいる対価が労働だって思うなら、今はそれでいいよ。でも、僕たちはそんなの関係無い。案外お人好しなんだよぉ?」 「ご迷惑、お掛けしたら……」 「大丈夫、この森広くて深いもん。それに、何かあっても簡単にはやられない。これまでもそうして、しぶとく生き残ったんだからねぇ」  そんな風に言うシャルロが、にっこりと笑う。良く見せるニヤリと含みのあるものではなく、本当に優しい笑みだった。 「それに、僕たちと姫ちゃんはそう境遇が変わらない。僕たちもねぇ、国追い出されてるから」 「追い出されてる?」 「元々は王子様なんだよぉ? クーデターで失脚して、両親は死んだけどねぇ」 「私! ごめんなさい!!」  聞いてはいけない部分を聞いて、白雪姫は慌てて謝った。だがシャルロはまったく気にした様子もなく、穏やかな表情のままだ。 「いいんだよぉ、もう十年以上前の事だしぃ」 「あの……」 「それに、親らしい背中が最後だしぃ。まぁ、兄弟は無事だしねぇ」  頬に触れていた手が離れて、途端にそこが冷たく感じた。頼りなく見つめている青い瞳が、ふわりと笑っていた。
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