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「それにねぇ、お尋ね者と言えば僕たちも。ここに刺客なりが来たとしても、正直どっちのかなんて分かんないよぉ? 僕たちを狙っての可能性も大いにあるんだぁ」
「え!」
「だぁかぁらぁ、自分のせいとか思わないでねぇ」
最後はニヤリとした笑み。そして伸び上がったシャルロの唇が目尻に触れた。あまりに突然で、キョトンとしてしまう。だが次には頬がカァッと熱くなる気がした。
「えぇ!」
「ふふっ、油断大敵だよ、姫ちゃん♪」
赤くなって睨むが、その時にはシャルロは既にひらりと身軽に体を離してしまっている。そして何事もなかったかのように戸口へと向かってしまった。
「あっ、そうそう。そろそろ夕飯だから、おいでね」
「……そうします」
ジトリと睨むように言えば、シャルロは「かんわぃい」と笑って出て行ってしまう。
疲れたように溜息をついた白雪姫は、だがずっと胸の内が軽くなっている事に小さく笑うのだった。
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