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「え?」
「悪い、預かってくれ。まだ小さくて、弱っている。温めてやりたいんだが、俺自身が冷えてしまっているから」
白雪姫の手の中の子猫は小さな体を震わせて、ミーミーとか細く泣いている。手で包むと、ギョームが小さいタオルを手渡してくれた。それで優しく体を拭き、くるんでいる。
「今お風呂も用意してるから、兄さんはすぐに着替えて。暖炉も火入れてきた」
「すまないな」
「風邪引いたら大変だし」
ギヨームは気遣わしくそう言って、アベルを浴室側の部屋へと案内していく。
白雪姫もゆっくりと後を追った。
室内は暖炉の火が入り、普通では少し暑く感じる。だがアベルはそれでも体が小刻みに震えている。毛布をかけてようやくといった様子だった。
白雪姫も子猫を温めるように抱いている。こちらは少し温かくなってきたように思う。
「この子、どうしたんですか?」
「泉の近くにある木に登ったまま、降りられなくて鳴いていたんだ。きっと、野犬にでも追いかけられたか驚いたんだろう」
それで色々察する。助けようとして、その泉へと落ちたんだ。
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