慣れるまでは

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「うぅ……」 その考えに至った瞬間、涙が溢れ出した。取り敢えずこの何ともならない気持ちは、泣いて自分の中かから追い出すしかないんだ。 「ヒック……グス」 しばらくの間膝を抱えて泣いていたが、涙が止まる気配がない。さっきチャイムの音が聞こえた気がする。 「シオン。何してんだ?こんなところで。」 急にかけられた声にびくっと体を震わす。(泣いてるとこ見られた?!)焦りが私の涙を止める。しかし、今しがた聞いた声を脳内で反芻させて、ある人物と同じ声であると気づいた。 「あんたも何やってんのよ。授業始まってんでしょリョースケ。」 幼なじみでクラスメイトのリョースケだ。 「いや、自習だからサボろうと思って。」 「いっそ清々しいわね。」 「そういうシオンは?」 なんというか、コイツは昔から考えていることが分からない。いっつもニコニコヘラヘラしてて。でも背は高い方だから昔からモテてたなぁ…。 「アンタには一生理解できない問題と対峙してるの。」どーせ振られたこともないんだろうよ。けっ。 「ははっ!なんだそれ。てか何処に向かって喋ってんだお前。」 私はずっと膝を抱えたままリョースケと喋っている。だって顔を上げたら泣いていた事がバレてしまう。
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