0人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぅ……」
その考えに至った瞬間、涙が溢れ出した。取り敢えずこの何ともならない気持ちは、泣いて自分の中かから追い出すしかないんだ。
「ヒック……グス」
しばらくの間膝を抱えて泣いていたが、涙が止まる気配がない。さっきチャイムの音が聞こえた気がする。
「シオン。何してんだ?こんなところで。」
急にかけられた声にびくっと体を震わす。(泣いてるとこ見られた?!)焦りが私の涙を止める。しかし、今しがた聞いた声を脳内で反芻させて、ある人物と同じ声であると気づいた。
「あんたも何やってんのよ。授業始まってんでしょリョースケ。」
幼なじみでクラスメイトのリョースケだ。
「いや、自習だからサボろうと思って。」
「いっそ清々しいわね。」
「そういうシオンは?」
なんというか、コイツは昔から考えていることが分からない。いっつもニコニコヘラヘラしてて。でも背は高い方だから昔からモテてたなぁ…。
「アンタには一生理解できない問題と対峙してるの。」どーせ振られたこともないんだろうよ。けっ。
「ははっ!なんだそれ。てか何処に向かって喋ってんだお前。」
私はずっと膝を抱えたままリョースケと喋っている。だって顔を上げたら泣いていた事がバレてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!