5章 透明な痛み、冬の嵐

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 カフェの明るいテラス席へ通されると、望実と玲奈は堰を切ったようにお互いの近況を語り合った。以前の学校の友達は相変わらず元気にしていて、運動会や文化祭での活躍を聞いたりすると、過ぎ去った日々の思い出が蘇る。  自分が抜けた後の人間関係は、新聞のニュースを見るように伝え聞くしかなくなったけれど、うまくいってるんだと思うとほっとした。 「お待たせしました」  クリームとフルーツがたっぷり乗ったパンケーキと、ブレンドティーが運ばれてくると、二人は顔を見合わせる。 「望実ちゃん、写真、写真!」 「ちょっと待って!」  美味しそうなスイーツの写真をスマートフォンで撮影すると、二人で顔を見合わせ笑顔になった。  そうだ、元気を出さなきゃ。望実は両親とお店のことを思った。くすのき村にお洒落なカフェが出来たと、みんなあんなに喜んでいた。奈菜だって最初は庇ってくれて認めてくれた。今はぎくしゃくしてしまったけれど、本当は……。
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