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「どうしたの?」
「うん……気持ちって、うまく伝えないとねじれてしまう事ってあるよね」
ティーポットの紅茶を注ぐと、白いカップに熱い液体が満たされる。口に含むと豊かな香りが広がり、望実は落ち着きを取り戻す。甘みを抑えたパンケーキはといえば、生クリームの甘さとフルーツの酸味がよく加わって、絶妙な味のハーモニーを奏でた。
「すっごく美味しいね!」
「ほんと、柔らかくてしっとりしてる」
「あのさ」
玲奈が食べる手を止め、望実に語りかける。
「直輝君のこと、諦めちゃだめだよ」
「え?」
「好きなんでしょ。彼のこと」
一度も話したことがないのに、玲奈に本心を言い当てられて望実はうろたえた。
「ど、どうして……分かっちゃうの?」
「夏に会った時から気づいてたわよ。望実、結構分かりやすいから」
顔が赤く火照るのを感じる。望実は恥ずかしさを静めながら、紅茶を啜った。
「むしろ思い切って、直輝君と相談した方がいいんじゃないかな」
「だって……」
「直輝君を巡るもめごとなら、なおさら彼を抜きにして仲直りとかありえないでしょ。今のところ事態に変化ない所を見ると本人は相当悩んでると思うよ」
確かにそうかも。
つい、一人で考えるあまり、直輝の気持ちをおろそかにしていたかもしれない。彼は奈々の事を、どう思っているのだろう?
答えを聞くのは怖かったけれど、ここから前に進むためには必要な勇気だった。
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