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12月24日のクリスマス会は午前と午後の部に分かれ、午前は学校の調理実習室を借りての準備時間だ。
望実たち中学生女子の担当はケーキ作りで、道具を棚から出しながら材料を確認していると、木製の引き戸が音を立てて開いた。
憮然とした表情の奈菜とその友人は無言で室内に入ってゆき、後方の机に陣取っている。事情を知らない皆も不穏な空気を察知して、目くばせをしながら彼女の様子を窺う。
「奈菜さん!」
ただ一人、望実だけが目を輝かせて奈菜に駆け寄る。
「来てくれたんですね、はい、エプロン」
「芳崎さん」
奈菜がぽつりとつぶやく。
「やっぱり、あなたはよそ者よ」
椅子から腰をひねって望実に向き直り、奈菜は大袈裟に溜息を漏らした。
「昔からこうだった。みんな、私の家が土地持ちだから、機嫌を損ねたくなくて出来たてのニキビのように扱う。謝らなくても言うことを聞いてくれる。でも、あなた相手にはそんなやり方通用しないのね」
「奈菜さん」
「分かったわ。あなたの本気、見てあげる」
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