6章 めぐる季節を、あなたとともに

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 2月に入り、一段と寒さが厳しくなってくる。  晴間山の山頂にうっすらと雪が積もると通りを歩く人もまばらで、『森のウッドペッカー』も閑散期に入る。待っていても仕方ない。何かイベントを催そうとバレンタイン講習会を開いた所、近所の奥様方に好評でありがたい事に口づてで人が集まった。  そんな休日の講習会に遥が来たのが嬉しくて、望実は久しぶりにはしゃいだ気がする。二人で作った生チョコは、試食だけでお腹がいっぱいになり、当日の分が残らないというありさまだった。けれど、「まぁ、いいか」という気軽さで遥が言うので、望実は自分の分を彼女に分けてやる。 「いいの。わたしはまた作れるし……」 「本命チョコ作らなきゃ、だよねぇ」 「その事で話があるの」  講習会が終わった後、望実は遥を自分の部屋に招いた。炬燵に運んできた緑茶を置いて、二人は向かい合わせに座る。 「……何かあったの?最近元気ないなって、直輝が心配してたから」 「え?」  そんなに顔に出てたんだ……望実は羞恥で顔を赤らめる。  遥は緑茶を啜り、熱い熱いと言いながら不意にため息をつく。 「聞いたよ、奈菜のこと。結構激しくやり合ったんだって? あの子も気が強いからね」 「わたしが悪かったんです。引っ越してきて、二人のことをよく知らなくて……」 「恋愛に後も先もないよ。あるのは好きか嫌いかじゃないかな」  遥は目一杯に手足を布団に突っ込み、炬燵で暖を取る。 「望実がどうあろうと、事態は変わってないよ。それは奈菜が一番良く分かってるんじゃない?」  高校生の落ち着きを見せながら、遥は言葉を選ぶように言った。
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