第6章 メイダス・ロンヴィジ

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第6章 メイダス・ロンヴィジ

管理局局長メイダス・ロンヴィジは今回の火星行きは反対だった。しかし、管理局中央にそびえ立つガイアのテラフォーミングシステム「ギヴオン」は火星行きを推奨、戦術予測を優位と判断していた。 「なぜ!?テラフォーミングシステムに戦術予測が出来るのだ!!」納得いかないメイダスは怒鳴った。 「テラフォーミングシステムハ、キホンノセイノウニスギマセン。センジュツヨソクニ、カギラズ、アラユルヨソクガ、デキテアタリマエナノデス」ギヴオンは当然のように答えた。 「では聞こう!地球に再移住は可能なのか?」メイダスは怒鳴った余韻で息が上がったが落ち着き払ったかの様にギヴオンへ質問した。 人類母艦ガイアは中央に重力制御と機関区を置きその周囲を囲む様に機密機関区画、軍事機関区画、生活圏区画、外縁装甲区画になっており、その形状はまるで小さな惑星に見えた。機密機関区画にある管理局には局長室と直結しているギヴオンの制御区画があり、メイダスは薄くなった頭髪をかきあげ、満足そうに自分の局長室に戻るとメイダスの趣味なのか絢爛に象る局長席に腰を下ろすと、これも絢爛に象るデスクに肘を置き両の指を組むとそこに額を置いた。メイダスの背中は震えその口元には満面の笑みが溢れていた。 「すまん!!」グラビス・ハンズロッド隊長はヨシュアに詫びるとデギンドラッドへ飛び込んだ。 「キアッカ!フォロー!!」 「了解!!」ハンズロッド隊員ワルター・キアッカはグラビスに答えるとデギンドラッドの尾の剣に斬撃をくわえるグラビスの後方から突撃して尾の剣の関節部を的確に切り裂いた。しかし、デギンドラッドの右腕はハンズロッド隊員アイン・セデルを掴み粒子砲で粉砕、ヨシュアはデモンドレイルの左腕部ごとデギンドラッドの口内を貫いた。爆散するデギンドラッドの左腕部から断末魔の様に発射された粒子砲はヨシュアを擦り抜け後方にいたテンペロー隊隊員イルキン・ノーブルを道連れにした。左腕部を無くしたデモンドレイルだったが、すぐさまきびすを返して次のデギンドラッドへと向かった。そしてハンズロッド隊二機もヨシュアの後を追った。 勝負は一瞬で決まった。ヒュード隊の射撃でデギンドラッドの足を止めた瞬間、フランベルジェ隊の四機が芸術的な円陣でデギンドラッドを囲み高速回転しながら同士討ち無く近接射撃で残りの左腕部、尾の剣を破壊してドラゴンの頭部を残し機体をバラバラに粉砕した。
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