第5章 悪意巡る

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第5章 悪意巡る

フランベルジェ隊は同じ第七世代で三機編成の射撃型マヒューヴァ「ディガグロンデ」を使うヒュード隊と組み、 テンペロー隊は同じ第六世代で格闘型の「ギルデヴァイア」を使うハンズロッド隊と組み、 残り二隊の組レヴィオラ隊とチェンバロ隊は各四機編成で第六世代の射撃型「グリフヴァイア」の使い手だった。デギンドラッドと各マヒューヴァ部隊の闘いは熾烈を極めていた。 デギンドラッドの機動力は見た目以上に俊敏で狡猾であった。レヴィオラ隊とチェンバロ隊は距離をとっての戦闘を得意としていたので、ダイヤモンド編隊で互いに交差しながら付け入る隙を与えないように攻撃を続けたが、デギンドラッドは機体のうねりの角度を巧みに変更して射撃を弾いていた。 グリフヴァイアの機動が緩慢になると同時に一気に加速し、レヴィオラ隊の二機とチェンバロ隊の一機を血祭りに挙げ、チェンバロ隊のもう一機を右手で掴み残りの機体を誘った。 「くそっ!!フォイルが!!野郎っ!!誘ってやがるのか?!」チェンバロ隊隊長ジェズ・チェンバロは部下が捕まり、怒りで我を忘れてしまいそうだった。 「ダメよ!!チェンバロ隊長誘いに乗っては!!」部下二名を喪った、レヴィオラ隊隊長サリア・レヴィオラは怒り狂ってはいたが、冷静にチェンバロを止めた。その頃フランベルジェ隊とヒュード隊は苦戦しながらもデギンドラッドの右腕を破壊し消耗させていた。その間フランベルジェ隊は全機健在であったがヒュード隊は一機落とされ、ヒュード隊は残り二機となっていた。 テンペロー隊とハンズロッド隊はヨシュアのデモンドレイルとハンズロッド隊が近接戦闘で必死で凌いでいる中、テンペロー隊の三機はクルクルと回り単純な機動でデギンドラッドと距離を取り射撃に専念していた。まるでヨシュア機とハンズロッド隊機をテンペロー隊三機が楯の様にしていた。 この行為にハンズロッド隊隊長グラビス・ハンズロッドはテンペロー隊隊長ゴウト・テンペローに怒りをぶつけた。 「貴様!!ふざけているのかっ!!何のつもりだ!!」 「これが俺達の戦闘スタイルだ!!」ゴウト・テンペローは自信満々に逆ギレした。 「止まっているぞ!!」デモンドレイルが動きを止めたグラビスの機体に体当たりをした。 「なっ?!何を?!」驚いたグラビスがデモンドレイルに近づこうとした瞬間、 「グオンッ!!」デギンドラッドの尾の近接兵器が二機の間をすり抜けていった。
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