第1章 同居人は突然に

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やたらと厳重なガムテを剥ぎ取り、ようやくダンボールを開くと、中に入っていたのは、ほぼ四角に折りたたまれたびっくりするくらいコンパクトな自転車、だった。 チョコミントの、明るめのミントを思わせるフレームを見ていたら、歯がスースーしてきた。 (え。こ、これが……?) 正体が分かってなお呆然としてしまった。 猫背で声も小さくぼそぼそと話していた父と、粋な外国人が異国で乗り回していてもおかしくない洒落た自転車が、どうしても結びつかない。 ミントのフレームに白地でローマ字が並んでいる。 「B、R、O、M、P、T、O、N」 ブロムプトン? いやブロンプトン 、か? どっちにしろ聞いたこともないメーカーである。日本製では無いのだろうか。
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