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スーパーにて指定の黒色の服に着替えれば何の服を着てもいいという決まりだけれど、別にお洒落をしようと思っていない天宮は最初から黒色の服を着て、スーパーでは上から制服(のようなもの)を着るようにしている。
天宮にとってはお洒落より〝楽〟の方が大切だ。
通勤に電車を使ったりするのだったら、もう少し考えが違ったかもしれないが、いや、きっと自分は楽を選んでいただろう。
「だぁから25になっても独り身なんですよー」
まぁ彼氏も旦那も欲しいとも思わないけど。
一人呟きながら着替え、着ていたパジャマを洗濯機へと放り込みに行く。昨日も一昨日も洗濯機を回していないため、中は山盛りだ。
仕方ないと溜息をつき、時間も余裕があるため洗濯機を回すことにする。
ピッピと電子音を響かせ洗剤、柔軟剤を突っ込めば後は蓋をするだけ、というところでシュンシュンと今度はお湯が沸いた音が聞こえて来た。
「今行きまーす」
だが焦ることなく天宮は蓋をし、キッチンへ。
火を止めて、ワンタンはるさめにお湯を注げばワンルームの真ん中にある炬燵まで持って行く。
本当はラップをして三分なのだが、それもせずに炬燵の上に置き、電源を付けることなく炬燵布団の中へ。
意外とひんやりしている中は足先を冷やすけれどこれもまた気にせず、近くに積み上がったままだった漫画の一冊を手に取り、読み始める。
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